第329回:『MASTERS 2021 FINAL』トーナメントレポート

 6月25日、東京のスクウェア・エニックス本社にて『MASTERS 2021 FINAL』が開催されました。

 新型コロナウィルスの影響により『MASTERS 2020』は1つの大会も行なわれることなく中止。この『MASTERS 2021』も計画から実施に至るまで、そして昨年6月26日に『MASTERS 2021 横浜』でようやくスタートを切ってからも度重なる延期を挟みましたが、いくたびの波を乗り越え、足かけちょうど1年で『FINAL』を開催することができました。プレイヤーの皆さまには事前受付や会場での各種感染対策にご協力いただき、大きなトラブルなく全国32か所での大会日程を消化できたことを心より感謝いたします。ありがとうございました。

 『FINAL』には全国での大会を勝ち抜いた権利者から全体の9割を超える35名のプレイヤーにご参加いただき、シーズン日本一のプレイヤーを決定するのにふさわしい舞台となりました。ここでは熱戦のもようを、トップ8のデッキリストとあわせてお届けいたします。


『MASTERS 2021 FINAL』生放送のアーカイブはこちら
(4回戦 8:35~、5回戦 50:00~、6回戦 1:27:30~、情報パート 2:03:40~、準々決勝 2:34:45~、準決勝 3:47:35~、決勝・インタビュー 5:37:05~) 

予選ラウンド

 予選ラウンドはスイスドロー6回戦で争われました。

 スタンダード環境は前週までの『第四期 名人戦』では「風単」「火単」の活躍が目立ち、そこに「モールズの夜会」が食い込んできたという状況下で、全国トップレベルのプレイヤーたちがどのようなデッキを持ってくるのか、新たなデッキタイプやシークレットテクが現れるのかに注目が集まっていました。

35個のデッキ分布は以下のとおりとなりました。

9:「モールズの夜会」
5:「風単」
4:「水単」
3:「火単」「火水」
2:「氷雷」
1:「火風」「風土テテオ」「水雷ライトニング」「水雷レオ」「風氷」「土水」「土雷黒のワルツ」「火土水」「風水FFX」

 使用率トップは「モールズの夜会」となりました。『光の使者』環境の序盤では、ジョブのシナジーを活かして横に展開していく有力デッキの中の1つというポジションでしたが、大量に投入したEXバーストで序盤をしのぐ構築が結果を出し始め、ここに来て大きく勢力を伸ばしています。デッキのフリースロットが広いのも特徴であり、ひと口に「モールズの夜会」といっても採用されているカードのバリエーションが極めて多岐にわたっている印象です。(本レポートでは、一定以上のデッキパーツが入っているデッキはすべて「モールズの夜会」に分類しています。)

 それに続くのが「風単」「火単」「火水」といった『光の使者』環境を引っ張ってきた各種デッキであり、さらには使用人数こそ少ないながらも、この環境でずっと使い続けてきたデッキや、おそらくこの『FINAL』のために調整を重ねてきたであろうデッキも見られました。


 スイスドロー6回戦が終了し、トップ8はご覧の組み合わせとなりました。実に8個中5個がデッキ分布上は「1」に該当するデッキであり、環境での経験や予測を武器に、メタゲームの間隙を突き抜けたプレイヤーが好成績を残すかたちの予選ラウンドとなりました。 



準々決勝


 『FINAL』の決勝トーナメントはデッキリストを公開のうえ、すべて80分間の2本先取という、プレイヤーとしての総合力が試される舞台となります。翌日の『THE AFTER』に備えるプレイヤーも多く広い会場が静寂に包まれるなか、国内最高峰の熱戦が展開されました。


準々決勝(結果)

しど 2-0 たるほ
ひーと 2-0 ひれひれ(∵)
ハリガイ 2-0 ai_fftcg
riru 2-1 holy
 

ベスト8 デッキリスト

※リスト内のカード名は、クリックするとカード画像が表示されます。



準決勝


ひーと(モールズの夜会) 対 しど(風土テテオ)

 デッキビルダーとして知られる"第3期名人"しどさんと、環境を見通してのデッキの選択・ブラッシュアップを得意とするひーとさんの対戦となりました。しどさんの「風土テテオ」は無限コンボでの勝利も可能、ひーとさんのデッキは通常の「モールズの夜会」には入ってない【12-118C】プリッシュや【11-140S】カダージュが目立つなどお互いに特徴的な50枚で、対戦前のデッキリスト確認から盛り上がりを見せます。

[1ゲーム目]しどさんのデッキが受け寄りであることを確認済みのひーとさんは後手を選択。【16-080H】マダム・エーデルからの【16-065C】アンバーというロケットスタートを切りますが、うかつにダメージを与えると【16-081R】ミラや【13-037C】オチューが動き出してしまうため、ダメージは急がずに妨害も兼ねて【16-048H】ジタンで1点ずつ刻み始めます。このジタンでのめくりがゲームの勝敗を大きく左右しました。まずは奪った【3-096R】リディアで追加の【9-068H】ドラゴンをサーチして反撃を防ぎ、さらにこちらも奪った【16-043H】アトモスを経由して【11-140S】カダージュをキャスト。全体除去1枚ではひっくり返せない盤面を作り上げ、ゲームを先取しました。

[2ゲーム目]若干悩むしどさんですがここは素直に先手を選択。手札を3枚切っての【6-108R】イシュガルド教皇という初動になったひーとさんが若干もたついたものの、お互いに無傷のまま【16-048H】ジタンがにらみ合う膠着した盤面に。そうなると有利なのは実質複数CPを生み出せる【11-073H】テテオと、ジタンを安全に攻撃させられる【12-038H】アルテアを擁するしどさん側となります。ひーとさんもアルテアがダル状態の隙にジタンこそなんとか除去するものも、残りのフォワードからのアタックでダメージは危険域に。返しのターンで【16-099C】メラルドなどを駆使してゲームを決めるだけの打点を用意しますが、【16-043H】アトモスがフォワード化したところで【5-090R】ヒルギガースがブレイク! しどさんがゲームを取り返しました。

[3ゲーム目]ひーとさんは初志貫徹で後手を選択。2ゲームでの経験からひーとさんは早いターンから攻める展開をとり、【11-140S】カダージュでダメージを3点まで刻みます。そこからは先ほど同様【16-048H】ジタンのにらみ合いに。今回はしどさんのジタンがより多くのカードを奪い、【16-022R】アウィン [FFBE]でハンデス、【16-121R】べスビアで1ドローと、相手のお株を奪う動きを見せます。ひーとさんも負けじと【16-022R】アウィン[FFBE]で【7-053C】ズーを落とし前方確認してからアタックを通すと、ここでダメージゾーンに送られたのは3枚目の【7-053C】ズー! この機を見逃さずに【9-068H】ドラゴンが撃ち込まれ、すべての【7-053C】ズーが取り除かれます。コンボの可能性をシャットアウトした「モールズの夜会」が攻め手で圧倒し、ひーとさんが決勝へと駒を進めました。


riru(火水) 対 ハリガイ(火土水)

 準決勝のもうひと試合は、大きなトーナメントでは必ず結果を残す"第1期名人"ハリガイさんと、関西の強豪プレイヤー・riruさんの対戦となりました。お互いに召喚獣を駆使する、キーカードもほぼ同じデッキによるマッチアップです。

[1ゲーム目]まずはお互いにバックアップを並べながら、ハリガイさんが【15-083L】リディアを出しますがすぐに除去されてしまいます、一方でriruさんの【14-116H】マシュリーは除去されず、「火水」優勢のままゲームが進みます。ハリガイさんはデッキを掘り進め、残り枚数的に戦えるのがあと2、3ターンという状況で【15-083L】リディア、【14-116H】マシュリー、【15-011L】パロム、【15-119L】ポロムというデッキの主力をすべて展開し最後の攻勢に出ます。しかしriruさんの用意した除去の枚数が足りており、デッキ切れまでに7点のダメージを与えられないと判断したハリガイさんは投了。riruさんが先勝しました。

[2ゲーム目]この試合も序盤から「火水」の優勢で進み、riruさんがダメージで先行する展開となります。ハリガイさんは早いターンでフォワードを4体展開してフィールドを押さえにかかりますが、相手のEXバーストで【14-113R】リヴァイアサンがめくれたことで盛り返されてしまいます。もう一度フォワードを展開し直しますが、なんとここでも【14-113R】リヴァイアサンがEXバースト。攻め手を失った「火土水」に対し「火水」は消耗戦を経てもなお【16-116L】ティーダや【16-010H】ジンが残っており、最後に押し切ったriruさんが2ゲームを連取して勝利を収めました。  

ベスト4 デッキリスト


決勝


ひーと(モールズの夜会) 対 riru(火水)

 決勝はそれぞれ関東と関西で、長く結果を残し続けてきた強豪プレイヤーによる一戦となりました。これまで80分をほぼフルに使うマッチが続き、決勝のテーブルに着いたお2人には少し疲労の色も見られましたが、ここさえ勝てば日本一。最後の戦いの火ぶたが切って落とされました。

[1ゲーム目]ひーとさんは【16-065C】アンバーこそ引けなかったものの、【16-080H】マダム・エーデルと【16-022R】アウィン [FFBE]を展開して軽快にダメージを取っていきます。一方のriruさんは落ち着いてバックアップを並べたあとで【15-011L】パロムと【15-119L】ポロムをそろえ、経験値カウンターが3つ載った【15-011L】パロムで相手のフォワードを除去していきます。これをどうにかしないとフォワードを出せないひーとさんですが、【12-002H】アマテラスや除去に阻まれなかなか対処できません。【1-107L】シャントットを使いなんとか一掃しますが、ブレイクゾーンに召喚獣が溜まったriruさんは満を持して【14-116H】マシュリーをキャスト。これが除去されなかったことが勝敗を決し、まずはriruさんが日本一に王手をかけました。

[2ゲーム目]今度はバックアップをうまく置けない「火水」に対して、「モールズの夜会」は順調に【16-065C】アンバーから展開していく構図に。ひーとさんは十分にバックアップを並べたところで【13-002L】アクスターや【16-080H】マダム・エーデルで攻めていきます。riruさんも除去しながらフォワードをキャストして対抗しますが、ここで【1-107L】シャントットが通ってフィールドがリセットされてしまいます。ここから途切れることなく続いた「モールズの夜会」の展開をさばくことができず、ひーとさんが勝利。決着は3ゲーム目に持ち越されました。

[3ゲーム目]お互いに序盤はバックアップを並べる静かな展開。「火水」は【15-011L】パロムと【15-119L】ポロムをそろえますが、「モールズの夜会」がしっかり除去で対処し、そのままフィールドでの優位を取ります。riruさんはこの流れを【14-011H】豪神スサノオでリセットしますが、続く展開をひーとさんも【1-107L】シャントットでリセット。フィールドがすっきりしたところで80分間の制限時間はタイムアップとなり、延長ターンに突入します。この時点でダメージは2-2であり、延長3ターン終了時点のダメージ差による決着が濃厚となりました。

 延長2ターン目、riruさんは相手のフォワードをすべて除去し、2体アタックができる千載一遇の状況を作ります。しかし、1体目のアタックでめくれたのはなんと【12-108C】レモラ! 1点しかダメージが入らずフィールドは無防備となります。そしてひーとさんの最終ターン、【10-068C】クーシー、【16-080H】マダム・エーデルとキャストしてヘイストを持つ【16-099C】メラルドをフィールドに、さらに【16-048H】ジタンがこのターン3枚以上のキャストによりヘイストを獲得し……! 2体のアタックが通ったひーとさんがダメージ1点の差で勝利し『MASTERS 2021 FINAL』優勝、みごと今シーズン日本一のプレイヤーとなりました。おめでとうございます!!!  



ファイナリスト デッキリスト


 『MASTERS 2021 FINAL』のレポートをお届けしました。『FINAL』と銘打つトーナメントは実に2年半ぶりとなりました。コロナ禍での悪戦苦闘を経て、こうして無事に開催できたことをうれしく思いますが、いずれはまた『World Championship』へつながる大会として『FINAL』を開催できるのが理想であることに変わりはありません。

 現在開催中の『第四期 名人戦』後には、新たなシーズンとして『MASTERS 22-23』がスタートする予定です。その舞台が再び"世界"への道となることを願いつつ、今後も安全なトーナメントの実現に努力し、皆さまとお会いできるのを楽しみにしております。  

▲ベスト4:しどさん

▲ベスト4:ハリガイさん

▲準優勝:riruさん

▲優勝:ひーとさん