第236回:プロデューサーからスペシャル Vol.7 『Chapter』シリーズ
皆さんこんにちは。『FF-TCG』プロデューサーの景山太郎です。ほぼ毎週更新しているこのコラムですが、ちょっと書くことのストックがなくなってきたので、少し方向性を変えて今回は以前日本のみで発売されていた『Chapter』シリーズの話をしていきたいと思います。
『Chapter』とはそもそもどういったシリーズだったのかという点から、現在の『Opus』シリーズとの違いまで書いていきます。よろしければお付き合いください。
『Chapter』シリーズとは
『Chapter』シリーズは2011年2月にスタートし、第15弾となる『2015』まで発売されました。そのため日本では毎年2月にファンフェアを開催しています。今年はCOVID-19の影響で開催が延期されていますが、来年は10周年を記念するファンフェアになるはずです。
この『Chapter』シリーズは日本でのみ発売されたため日本語版しかありませんが、基本的なルールは――『Opus』シリーズになった際に一部変更していますが――現在の『Opus』シリーズと同じものとなっています。そして『Opus』シリーズはこの『Chapter』シリーズで得た経験をもとにブラッシュアップされ、そして現在では独自の進化を遂げています。
『Chapter』シリーズでは1,098種類のカードをデザインしました(イラスト違いのカードを含む)。『Opus』シリーズは最新の『Opus XI』までで1,700枚ほどのカードを制作していますので、カードの種類が『Chapter』シリーズより多くなるのは確実でしょう。
『Chapter』と『Opus』の違い
『Chapter』と『Opus』では基本的なルールの違いはないと言いましたが、それ以外の部分ではいくつかの違いがあります。『Opus』シリーズを初めて触る人がたいてい驚いてくれるのが、カード裏面の手触りです。加工がされた、平面的でない感触はあまりほかではないもので、ある種の豪華さも感じてもらえるのではないでしょうか。また、『Chapter』シリーズは白が基調でしたが『Opus』は黒が基調となっています。また、カード表側のテキスト枠にもひと工夫加えました。『Chapter』シリーズは枠の形がすべて同じでカードタイプの区別がつきにくかったのですが、『Opus』シリーズではカードタイプごとに枠を変更しています。枠内の背景色も変え、黒ならフォワード、白ならバックアップとわかるようになっています。
デザイン以外の部分では『カテゴリ』という要素を加えました。同じ原作どうしでシナジーを持たせることにより『Chapter』シリーズではなかった新たなデッキの方向性が生まれることになりました。この『カテゴリ』は当初考えていたよりも使い勝手がよく、これを利用したさまざまなアビリティが登場しています。
『Chapter』から変化したカード
『Chapter』からブラッシュアップされて『Opus』シリーズに登場したカードの変遷には、大きく分けて4つのパターンがあります。1つめは『Chapter』時代とコスト、パワー、そして能力のすべてが同じもの。これは『Opus』の初期で多く見られました。
2つめはコストなどを見直したもの。【1-107L】シャントットのコストや、【1-182L】クラウドのスペシャルアビリティのコストなどが挙げられます。
3つめはイラストのみ一緒で能力はまるで違うもの。【10-086C】アルドなどがわかりやすいです。今のアルドは雷属性のフォワードをサーチできる便利なカードですが、『Chapter』時代のアルドは凶悪なカードでした。氷属性で4コスト8000。アビリティは『Opus』風に書くと「アルドがフィールドに出たとき、フォワードかバックアップを指定する。対戦相手のコントロールする指定されたカードタイプのすべてのキャラクターを凍結させる。(When Aldo enters the field, select 1 card type other than Summon or Monster. Freeze all the Characters of selected card type opponent controls.)」というものでした。こういったカードは『Opus』シリーズでそのまま世の中に出すわけにもいかず、アビリティを調整するのも難しいので、まったく別のものとして登場させることになります。
そして4つめはまったく新規のものとなります。『Chapter』シリーズと『Opus』シリーズの間に、たくさんのファイナルファンタジーが登場しました。話題の『FFVII REMAKE』をはじめ、アーケードの『ディシディアファイナルファンタジー』、『メビウスファイナルファンタジー』、『ブレイブエクスヴィアス』、『紅蓮のリベレーター』以降の『FFXIV』、『FFXV』などなど、数多くのタイトルが登場し、また、今後も増えていくのは間違いありません。また、『Chapter』シリーズにはなかった描き下ろしのイラストもあるため、最近はこの4つめのパターンのカードが過半数を占めています。そういった意味でも『Opus』シリーズが『Chapter』シリーズから独立した道を歩んでいるのがわかります。前人未踏の領域に入った『Opus』シリーズの世界を楽しみしてください。
『Chapter』シリーズの強力なカードたち
それではせっかくなので、最後にここではまだ『Opus』シリーズに登場していない『Chapter』シリーズの強力なカードを2枚紹介したいと思います。このままのアビリティで『Opus』シリーズに登場することはないと思いますが、いずれ登場するはずのカードです。
※カード名とテキストの訳は景山が仮にあてたものです。正式なものではありません。ご了承ください。
1:蛮神バハムート
属性:闇 タイプ:フォワード コスト:7 パワー:10000
EX BURST
蛮神バハムートがフィールドに出るかアタックしたとき、以下から1つを選択する。
・フォワード1体を選ぶ。それをゲームから除外する。
・対戦相手のコントロールするすべてのフォワードに5000ダメージを与える。
蛮神バハムートは自身のパワー未満のダメージを受けない。
テラフレア《S》《4》:蛮神バハムート以外のすべてのフォワードに10000ダメージを与える。
英訳
Bahamut [XIV]
Element: Dark Type: Forward Cost: 7 Power: 10000
EX BURST
When Bahamut [XIV] enters the field or attacks, select 1 of the 2 following actions.
“Choose 1 Forward. Remove it from the game.”
“Deal 5000 damage to all the Forwards opponent controls.”
If Bahamut [XIV] is dealt damage less than its power, the damage becomes 0 instead.
Teraflare《S》《4》: Deal 10000 damage to all the Forwards other than Bahamut [XIV].
2:ソード・メイデン
属性:光 タイプ:フォワード コスト:2 パワー:5000
ソード・メイデンはコスト3以上のフォワードにブロックされない。
《1》:ターン終了時までソード・メイデンは先制攻撃を得る。
《2》:ターン終了時までソード・メイデンは効果によっては選ばれない。
《2》:フォワード1体を選ぶ。ターン終了時までそれのパワーを+2000するか-2000する。
英訳
Swordmaiden
Element: Light Type: Forward Cost: 2 Power: 5000
Swordmaiden cannot be blocked by a Forward of cost 3 or more.
《1》: Swordmaiden gains First Strike until the end of the turn.
《2》: Until the end of the turn, Swordmaiden cannot be chosen by your opponent's Summons or abilities.
《2》: Choose 1 Forward. It gains +2000 power or loses 2000 power until the end of the turn.
どうでしょうか。さすがにこのまま登場はしなさそうですよね。これ以外のカードに興味ある方はこちらで確認できますので、ぜひ見てみてください。日本語版のみではありますが、すべての『Chapter』のカードが掲載されています。
今回はかなり特殊な感じのコラムになりましたがいかがだったでしょうか。今後もいろいろな話をしていきますのでご期待ください。それでは今回はこのへんで。