第229回:プロデューサーからスペシャル Vol.3 『FF-TCG』の属性について

 みなさんこんにちは! 『FF-TCG』開発プロデューサーの景山太郎です。「プロデューサーから」特別編3回目となる今回は、『FF-TCG』の重要な要素の1つである『属性』に関して語っていきたいと思います。カードの属性はどのようにして決められるのかを紹介していきます。また、最後に少し『Opus XII』から登場する予定の「多属性」に触れますので、ぜひご一読ください。

属性はどうやって決める?

 直接お答えすることはほとんどないのですが、僕のSNSにはたまにダイレクトメッセージで「なぜこのキャラクターを〇属性にしたの?」というような質問が来ます。そこでまずは、各カードの属性はどうやって決めているかを説明したいと思います。

 基本的に属性は僕がすべて決めています(デバッグ中にデバッガーからのバランス的な要望で変更になることもありますが、ごく少数のケースでほとんどありません)。そして決定の基準がいくつかありまして、それに従って属性を割り振っています。今回のスペシャルコラムシリーズはできる限り内部事情を紹介しちゃおうというコンセプトもありますので、この機会にその基準を公開してしまいましょう。

1:原作の属性をそのまま当てはめる。

 属性を考えるうえで一番簡単で、さらに全員が納得してくれるのがこのパターンです。例えば『FF IV』のゴルベーザ四天王や『FFBE』の六盟傑のメンバーなどがこれに当てはまります。また、召喚獣もこのパターンがよく見られます。イフリートやシヴァ、ラムウなどがわかりやすいですね。こういったものはよほどのことがない限り原作と同じ属性が割り当てられます。原作で「火のルビカンテ」と呼ばれているルビカンテなら当然火属性となるわけです。ルビカンテが水属性のキャラクターだったりシヴァが火属性の召喚獣だったりしたら、その違和感は相当大きなものになるのは間違いありません。ですから、原作ではっきりと属性のイメージがあるものはその属性を当てはめるようにしています。

 こう書くと、「原作にあわせるなら属性を決めるのなんて簡単でしょ」と思われるかもしれません。しかし、属性がはっきりわかるキャラクターというのは意外に少ないのです。特に主人公サイドのキャラクターはその影響が顕著で、いろいろな属性の魔法やアビリティを使うことができますし、ゲームによっては『FF VII』のマテリアのように特定の属性攻撃を持たせることができるものもあります。こういったキャラクターがどの属性に当てはまるかは、この基準で決めるのがなかなか難しいです。そのため、ほかの判断基準を設ける必要があります。

2:キャラクターのイメージから連想する。

 多くのキャラクターにはある程度共通したイメージがあります。例えば『FF VII』のバレット。彼はスピードよりもパワーに特化したタイプで打撃力の高いキャラクターというイメージになると思います。そうなると、すばやいイメージの風属性や雷属性はちょっと違う感じがします。そうなるとパワーの高さから土属性がふさわしいのではないでしょうか。このように、キャラクターの特徴から結び付けていきます。ただ、注意したいのは人によってキャラクターへのイメージが違う可能性があることです。独りよがりにならないよう、できる限り共通したイメージ、僕は「イメージの最大公約数」と呼んでいますが、そういったイメージをできる限り拾えるように努力しています。

3:ジョブから関連づける。

 これもそれなりにあるのですが、ジョブがはっきりしているキャラクターの場合はジョブからアプローチすることもあります。『FF-TCG』ではジョブを固めてデッキを作りやすいように、代表的なジョブはなるべく属性を固定しています。竜騎士なら雷。モンクなら土とたまに火。黒魔道士なら火、氷、雷(これはファイア、ブリザド、サンダーというファイナルファンタジーで代表的な黒魔法を意識しています)。もちろん例外もいくつかありますがジョブはイメージが固まっていることが多いので、属性を決めるときに大きな参考になります。

 さらに上記の基準に加え原作ごとに属性を寄せたり、リスト上での数が足りない属性の穴埋めにキャラクターの入れ替えなどを行ない、最終的に属性が決定します。もちろん例外もいくつかありますが、基本的にはこのように属性は決められていきます。



多属性(Multi-Element)に関して

 さて、冒頭で言いましたが最後に新要素の「多属性」に関して少し説明したいと思います。これは1つのカードが複数の属性をはじめから持つというもので、以下のルールがあります。

1:そのカードを使うときには最低でもそれぞれの属性のCPを1つ支払わなければならない。例えば火属性と土属性を持つ3コストのフォワードなら、火属性と土属性のCPを1つずつ含む3CPを払う必要がある。
2:コストを減らすアビリティで「コストは〇減る(0にはならない)。」というアビリティの影響を受けた場合、支払いが必要な属性のどちらも0にはならない。上で挙げた1と同じ3コストで火属性と土属性を持つフォワードが「コストは3減る(0にはならない)。」というアビリティの影響を受ける場合、火属性と土属性のCPを1つずつ払う必要がある。「0にはならない」が書かれていないアビリティでコストが0になった場合はCPを支払う必要はない。
3:フィールドにいるときだけでなく、すべての領域でどちらの属性も持つ。
4:手札から多属性のキャラクターを捨ててCPを生み出す場合、どちらか片方の属性を選択し、その属性のCPを2つ生み出す。両方1CPずつ、というようなことはできない。

 登場するのは『Opus XII』からということでもうしばらく先になりますが、楽しみにしていてください。

 では今回はこのへんで。次回はジョブの話をしたいと思います。お楽しみに!